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関曠野『ハムレットの方へ』の方へ 

メモです。 未来は過去のパロディとしてのみあり、新世界が無から出現することではない。変革とは過去からの脱出ではなく、過去がそれと知らず秘めていた喜ばしい可能性を開花させることにほかならない。(中略)体制の真の変革は、同時に各人の生き方の変容…

オレンジ本の書評  

4月4日(日)の東京新聞の書評欄で、批評家の佐々木敦氏がジジェク『大義を忘れるな』asin:4791764919 を紹介してくださっています。短い書評ですが、このぶ厚い本の苛烈な世界へと読者をいざなう文章です。いわく、「資本主義と馴れ合うことも、それと結…

『モダニズムの政治学』  

Raymond Williams, Politics of Modernism の邦訳が今月出版されていたとは。RW変換作業の参考にしよう。(右の写真は北川温泉の旅館の部屋から見た東伊豆の海。) モダニズムの政治学―新順応主義者たちへの対抗作者: レイモンド・ウィリアムズ,加藤洋介出版…

SZ変換作業終了

第12回RW研究会  

以下告知です。第一部のみ、または第二部のみの参加も可能です(よね、同人のみなさん)。 ちなみに、第一部で上映されるTVドキュメンタリーには字幕がついていませんので、ご了承ください。 「ボーダーを越える」 レイモンド・ウィリアムズ研究会 第12回研…

TOCHKA  

8日夜、ユーロスペースで『TOCHKA』(松村浩行、2008)を観る。 この異形の傑作を観て思い出したのは以下の一節。「書く」を「撮る」に入れ替えればそのままこの映画に当てはまるような気がする。 自分が知らないこと、あるいはよくは知らないことについて書…

ミニマル  

この1ヶ月ほど、サーフィンに出かけることもなく(誰が!)、外で映画を見ることもなく(喪主にはなったが)、英語→日本語変換ソフトと化しての労働の日々が続いている。(といいながら、変換しているのはSZの方が主で、RWの方はまだ一つしか終わっていない…

屈折  

エドワード・W・サイード『故国喪失についての省察 2』を、訳者のお一人である takashimura さんよりご恵贈いただく。どうもありがとうございました。 以下、お礼のメールに書いたことと重なるのだけれど、まずはとりあえず、第30章「抵抗すること、そして立…

やはり

『とどまるか なくなるか』(瀬田なつき、2002)@ユーロスペース 『彼方からの手紙』、『むすめごころ』に先立つこの作品も「少女」が主人公の映画なのだけれど、初めてこれを観て、瀬田なつきは少女を主人公にしなくても映画を撮れる監督なのだということ…

で、どうする? 

id:shintak さんと id:malenie-ji-woo さんのところに報告・感想等があるように、昨日、同人誌の共同討議を行ってきた。録音した音声データを聞きながら改めて思うのだが、演出家のS さんとパフォーマーの H さんに参加していただいて本当によかった。この場…

そのひぐらし、凶暴につき 

ひぐらしの鳴き声が好きで、今の住処に越してきてよかったことのひとつは、夏の明け方と日暮れ時に、少し離れた小山からひぐらしの鳴き声が聞こえてくることだ。先日、帰宅途中に今年初のひぐらしを聞いた。その小山にある遊歩道を家に向かって歩いていたら…

二重襞

可視性と言表、見ることと言うことのあいだにある、「外の記憶」。

Susan Boyle vs 丹波リンダ  

ひまでひまでしかたがないので、ひつまぶしいやひまつぶしに You Tube などを見ていたら、こんなのがありました。 http://www.youtube.com/watch?v=1t8m7CkpIK0 これはやらせなのか。かりにやらせではないとしても、この演出と編集ではやらせに見えてもしか…

「トライアルE」

笛田宇一郎演劇事務所「トライアルE――シェイクスピア『リア王』(小田島雄志訳)による――」@フリースペースカンバス、を昨日観た。 冒頭の15分間ほど、舞台奥の壁をスクリーンとして映像が映し出される。沖縄民謡を歌いながら自転車に乗る初老の男(笛田宇…

官能の帝国

正月早々、締め切りのプレッシャーと前未来的喪失感に耐えかね、元気ロケッツの「Heavenly Star」を聴いても元気になった気がしないので、やむなく(ホントにやむなく、です)シネマヴェーラへ。『壇の浦夜枕合戦記』(神代辰巳、1977)と『江戸川乱歩猟奇館…

ゾンビの勝ち

『ダークナイト』(クリストファー・ノーラン、2008)を目黒シネマで。う〜む。ヒース・レジャー演じるジョーカーは、何らかの利益を得るための悪ではなく、パトローギッシュな動機を一切含まない根元悪(悪のための悪)を体現する人物だとするなら、そうし…

記号と女 

昨日は近所の図書館で、読むのを怒慢、いや我慢していたいろいろな雑誌をまったり読もうと思っていたのだが、寝坊してしまい、アテネの特集「ストローブ=ユイレの軌跡」に行く時間が迫っていたので、読みたいところだけ大急ぎでコピーしてきた。それらのコ…

怒りの発現=発言を肯定する

15日の某学会シンポジウムでの或る出来事について、ここに書くかどうか迷ったが、やはり記しておきたい。私の報告が終わった後の質疑応答の時間に、某有名国立大学で長年教えていらした老人男性が、私の話を聞いていなかったとしか思えないトンチンカンな質…

製紙工場

エクスクレメンティス・アルテリウス

不貞腐れていないで、少しは仕事を進めないといけないということで、秋のシンポジウムに備えてベンヤミン「ゲーテの『親和力』」(『ベンヤミン・コレクションI』所収)を読んでいたら、カント『道徳の形而上学』の「婚姻」をめぐる例の一節が引用されている…

梅雨明けの超越論的経験論

乗客のまばらな、冷房の効きすぎたバスが、昼下がりの交差点でエンジンをとめる。車窓から外を眺めると、夏の陽射しに嬲られるがままに、樹木が音もなく風に揺れながら光と影を街路に投げ散らかしている。ガラス窓の向こうに揺らめくこの光景は、〈美的理念…

前回のエントリーで取り上げたインタヴューを読んでイライラしていたとき、脳裏に浮かんできたのは、下記の松浦寿輝の詩の一節。 癈疾の半身を傾けて それでもほぼ垂直に 水槽の濁った油に浮かぶきよらかな人 師よ あなたは老いた

黒い森

錯誤 沼から生まれたばかりの星のほうへ指を伸ばすと、濡れた鳥の巣に触れた。 落下速度 茂みの奥から聞こえてくる汽笛に、自己弁護の匂いを嗅ぎ取った栗鼠。 夕餉の仕度 あそこまで歩いていこう。トートロジーの闇は述語のない明るみのようだ。

散歩の冬

冬の散歩

線と色 

この季節、木の枝と空、線と色の絡み具合が面白くて、道を歩いていても飽きない。

『ムーたち2』

榎本俊二『ムーたち2』を読み、放笑爆笑哄笑そして妙にほのぼの。『週刊モーニング』に『ゴールデンラッキー』の連載が始まったときも驚愕したけど、あれからさらにとんでもないところまできてしまったな、この人。元日に相応しい読書でした。 ムーたち(2) …

エスキス 

夜が明ける前に目が覚めてしまい、布団の温みを冬の冷気に晒したままキッチンに行き、唸り声を上げるロートルの冷蔵庫からイオン・ウォーターを取り出してそのまま一口飲む。流し台から微かにコーヒーの香りが漂ってくる。前の晩に入れたコーヒー豆の滓が、…

『セザンヌ』

ユイレ=ストローブ『セザンヌ』(1989年)に引用された、ジョアシャン・ガスケの評伝『セザンヌ』における、セザンヌとガスケとの「空想的対話」より。 存在も物もすべて大なり小なり、貯蔵され有機化された微々たる太陽熱にすぎない。太陽の名残り、世界の…

忙中閑あり

虫になりたいのかもしれない。久しぶりに戸川純の「昆虫軍」を聴こう。