TOCHKA  

8日夜、ユーロスペースで『TOCHKA』(松村浩行、2008)を観る。
この異形の傑作を観て思い出したのは以下の一節。「書く」を「撮る」に入れ替えればそのままこの映画に当てはまるような気がする。

自分が知らないこと、あるいはよくは知らないことについて書くのではないとしたら、いったいどのようにして書けばよいのだろうか。まさに知らないことにおいてこそ、かならずや言うべきことがあると思える。ひとは、おのれの知の尖端でしか書かない、すなわち、わたしたちの知とわたしたちの無知とを分かちながら、しかもその知と無知をたがいに交わらせるような極限的な尖端でしか書かないのだ。そのような仕方ではじめて、ひとは決然として書こうとするのである。

パンフレットに掲載されている松村監督と鎌田哲也の往復書簡がまた素晴らしい。  
TOCHKA』の予告編はこちらです。