『セザンヌ』


ユイレ=ストローブ『セザンヌ』(1989年)に引用された、ジョアシャン・ガスケの評伝『セザンヌ』における、セザンヌとガスケとの「空想的対話」より。

存在も物もすべて大なり小なり、貯蔵され有機化された微々たる太陽熱にすぎない。太陽の名残り、世界の髄膜の中で燃える燐光にすぎない。(中略)いたるところで、光は闇の扉を叩く。いたるところで線が輪郭を描き、色彩を閉じ込める。私はそれを解放したい。私たちの生活環境の繊細さは、私たちの精神の繊細さにつながる。両者が支え合っている。色彩は、私たちの脳と宇宙が出会う場所だ。