大気の音楽

最近よくかけているCDはこれ。

ATAK013 ligne i8u + Tomas Phillips

ATAK013 ligne i8u + Tomas Phillips


このアルバムをプロデュースし、アレンジやリミックスで曲作りにも参加している渋谷慶一郎がこんな言葉を寄せている。

ドローンで1枚アルバムを作りたいと思っていたんだけど、これほど完成度が高くて美しい作品があるなら自分だけで作る必要はないなと思った。音響の変化、推移はカナダの自然や微細な環境音が精緻にプロセッシングされることによって絶えず生成されていてドビュッシーやある時期のリゲティのような大気の音楽が現実的に実現されているという気すらする。CDをかけると部屋の空気が変わるのを感じる。

そう、このCDをかけると本当に部屋の空気が変わる気がする。多層を成す音響の波が気圧の変化を促し、室内に冬の光が満ちては翳る。何かが訪れる気配を感じて目を閉じると、記憶のなかの風が耳元をかすめていく。(2011.01.26)