アリ-ババ走る 

2日(金)、ジャック・ベッケル『アラブの盗賊』(Ali Baba et les quarante voleurs, 1954年)をアテネ・フランセで。今年6月に行われた画期的な特集「ジャック・ベッケルの一撃」@青森県立美術館で上映された35ミリフィルムをフランスから再び取り寄せての上映とのこと。DVD等で観られる作品ではないためか、上映開始20分前に到着したらすでに長蛇の列ができていた。

仏語原題の通りお話は「アリ-ババと40人の盗賊」で、文句なく楽しい映画だ。ロバに乗ったアリ-ババ役の、「国民的喜劇役者」フェルナンデルがカメラ目線で歌を歌う冒頭近くのパン・ショットからして楽しいし、4,000人のエキストラを使って撮影したという群集のシーンにも笑ってしまう。私が特に好きなのは、大柄のフェルナンデルが走るシーン。アリ-ババの結婚式での追っかけシーンなど、追っかけが永遠に続けばいいのに、とすら思った。
それにしても、ジャン・ギャバン主演のギャング映画『現金に手を出すな』と同年にこのフィルムを撮っているなんて、まるでハワード・ホークスみたいだ。(実際、ホークスはベッケルの友人だったらしい。)ただ、ホークスならあのエンディングで、モルジアヌをロバに乗せてアリ-ババを歩かせるか、二人ともロバに乗せるかしていたのではないだろうか。そうしたらますます西部劇っぽくなるけれど。(上の写真は踊るモルジアヌです。)