「ああプラスチック みたいな恋だ」

ポリリズム

ポリリズム

はてな町界隈で話題になっているPerfume の「ポリリズム」が届いた。DVD 付きではないものを買ったので、動画はこちらのお世話になり、CD とシンクロさせて聴いている。  
三人娘のヴォコーダーを通した声やロボット風振り付けは、YMO世代には「かわいなつかし」という感じでなかなかよい。曲も、もう少しでスティーヴ・ライヒ調になってしまうところを抑えていたりして、うまくリサイクルしているな。 

ポリリズム」以前の曲をいくつか You Tube で見てみたが、それらと比較すると「ポリリズム」では三人娘の「傀儡性」が明確に強調されている(傀儡回しは中田ヤスタカか)。このユニット、かつてはアキバ系のアイドルで、今ではその過去を忘れたがっているそうだが、(広い意味での)ヴォコーダーを通したセクシュアリティの表現は、過去の延長線上にあるものだろう。似ていながらも微妙に異なる三人娘(ヴォコーダーを通した声も三人で微妙に違っている*1)の擬似クローン性が、生身の人間のものでも人形・傀儡のものでもないエロスを立ち上らせている。この意味でCD ジャケットも効果的だ。それはまるで、似ていながらも異なっている三つの生首あるいは傀儡の首を、三人の手がお互いに支え合っているように見え、そうしたボロメオの結び目のように絡み合った首と手は、その一箇所が綻びただけで全部がばらばらになってしまうかのような不気味さを秘めている。unheimlich な、よく知っているはずだけどちょっと違う、という感触が、この明るく楽しく切ないテクノポップの隠し味なのかもしれない。

*1:というか、三人の声の違いが残るようにヴォコーダーを調節していると言うべきか。