『共通文化にむけて』

以下、ウラゲツ☆ブログ http://urag.exblog.jp からの転載です。 

共通文化にむけて――文化研究 I
レイモンド・ウィリアムズ著 川端康雄編訳 大貫隆史/河野真太郎/近藤康裕/田中裕介
みすず書房 2013年12月 本体5,800円 A5判上製360頁 ISBN978-4-622-07814-2


★発売済。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。ウィリアムズは日本では60年代後半から単独著の訳書がありますが、再評価の機運が高まったのはカルチュラル・スタディーズの入門書や雑誌特集が増えた90年代後半以降です。その当時はほとんどの既訳書は品切ばかりで、今もその状況は残念ながらあまり変わっていません。そんな中、レイモンド・ウィリアムズ研究会が2005年に発足し、メンバーの皆さんの御尽力によって未訳の主要論文が独自編集版『文化研究』全2巻として刊行されることは、再評価への道筋としてたいへん重要ではないかと思われます。例えば今回刊行された第I巻の巻頭論文「文化とはふつうのもの」(1958年)は半世紀以上前のものですが、民主主義の困難さと可能性をめぐって、今なお現代人の皮膚に突き刺さるような問題提起と分析を呈示しています。この2巻本を機に、既刊書の再刊や文庫化、新訳が進むことを切に願いたいです。


◎レイモンド・ウィリアムズ(Raymond Williams, 1921-1988)単独著既訳書

2010年03月『モダニズム政治学――新順応主義者たちへの対抗』加藤洋介訳、九州大学出版会
2002年08月『完訳 キーワード辞典』椎名美智/越智博美/武田ちあき/松井優子訳、平凡社;2011年06月、平凡社ライブラリー
1985年10月『田舎と都会』山本和平/増田秀男/小川雅魚訳、晶文社
1985年09月『文化とは』小池民男訳、晶文社
1983年03月『長い革命』若松繁信/妹尾剛光/長谷川光昭訳、ミネルヴァ書房
1980年03月『キイワード辞典』岡崎康一訳、晶文社
1972年07月『辺境』小野寺健訳、講談社
1969年12月『コミュニケーション』立原宏要訳、合同出版
1968年12月『文化と社会――1780‐1950』若松繁信/長谷川光昭訳、ミネルヴァ書房;2008年07月復刊